前作からなんと4年越しのアルバムが到着した。その前のインターバルが1年半だったわけだから、ファンとしては『待望の』という形容詞がピッタリのアルバムだが、この中身が凄いのである。前2作でダンサブルなロックミュージックを追求してきた彼らだが、今作では生々しいロックンロールに戻ってきた。新加入のロイヤルがこれまで以上にグルーヴィにバンドをうねらせ、ブリテンのドラムがそれをタイトに支える、そしてヤスタカのギターリフが今まで以上に自由に曲中で踊っているのである。そして、ジョウの歌は、これもまた曲ごとに声色を変えて変幻自在に、狂った声を轟かせている。全国流通は17年ぶりというこのアルバムのリリースとツアーを控えたジョウに聞いた。
インタビュー=渋崎宗一郎
■この歌い方キライな人も沢山いると思うけどね。もう、やりたいようにやらせてもらうよ(笑)
渋崎:どうも、お久しぶりです。元気にしてました?
ジョウ:当たり前だろ、こっちはずーっと元気にやってるよ。
渋崎:今回は色々と疑惑があったもんで、写真撮影は割愛させてもらうんだけど、いいよね?
ジョウ:えっ?なんだよせっかくスタイリスト付けて張り切って来たのに!
渋崎:そんなこといいから、噂によると、前作リリース後にメンバーチェンジなんかもあって大変だったらしいじゃないですか。解散の危機だったって聞いたよ?
ジョウ:テキトーな出鱈目を言ってんじゃないよ!確かにあの後でベースのホッシーが辞めちゃったけど、2秒で新しいベーシストのロイヤルが加入したから、危機なんかないよ。休止もしないでちゃんとやれてました!
渋崎:あ、そ。
ジョウ:あ、そじゃないよ!帰ろうかなっ!
渋崎:でも、ちゃんとやれてたわりには前作からリリースは4年ぶりじゃないですか。具体的にどんな危機だったんですか?
ジョウ:おい、聞いてんのかよ!危機なんかなかったって言ってんだろ!ロイヤル入ってから、最初の1年は新しい曲を作りながらグルーヴを高めてたんだよ!で、次の1年は都内で自主イヴェントをガッツリやった。で、次の1年で、もう1回曲作りに戻って、で、この1年でレコーディングとリリースの準備。全然普通だろうが!休む暇なんてないんだから!
渋崎:意外にちゃんと活動してたんですね。
ジョウ:意外とか失礼だな!それ失礼だな!
渋崎:じゃあ、早速ですけれども、前回と同じように1曲ずつ伺っていきますね。まずは冒頭の『weekend shuffle』ですが、いきなりロックンロールですね。
ジョウ:そうだね。やっぱり元ニートビーツのロイヤルが加入したわけだから、アルバム全体にロックンロール色が強くなるよ。加入した時からそうするつもりだったし、じゃないと加入した意味もないからね。この曲は曲作りでスタジオに持っていく前まではもうちょっとエレクトロニカ的なイメージだったんだけど、4人で鳴らした瞬間に方向転換を余儀なくされたんだよ。導かれるようにロックンロールになるべくしてなったのさ。
渋崎:なるほど。いつ頃作ったの?
ジョウ:うーん、去年の今くらいかな。出来て以来ほぼ毎回ライヴでやってるんじゃないかな。
渋崎:なんだかこの曲を聴いてふっと思ったのは、ローリングストーンズ感と、あとお前の歌い方がちょっと変わったと言うか、声が太くなってないかなって思ったんだけど。
ジョウ:そうだね、元々曲によって歌い方は変えるのが好きなんだけど、リハーサルで色々試してこれになった感じかな。ストーンズは元々好きだったけれど、ここ1年くらい自分の中で凄く流行ってて、そう言う意味では影響はあったかもしれないね。
渋崎:お前はストーンズだとどのあたりが好きなの?
ジョウ:初期だったら『アフターマス』。あとは『イッツ・オンリー・ロックンロール』が好きかな。
渋崎:なるほど。じゃあ、お前の歌い方もミック・ジャガーの影響があるの?
ジョウ:さっきからお前って言ってないか?
渋崎:言ってませんよ?
ジョウ:そうかな。。。
渋崎:ミック・ジャガーからの影響はある?
ジョウ:ヴォーカリストとしては特別好きではないんだけれど、3年くらい前にストーンズのライヴを初めてドームで観たんだ。素晴らしかったねぇ。他のメンバーはそれなりにヨボヨボなのにミックだけ元気いっぱいだったのが印象に残ってる。やっぱり凄いね!ドーピングでもやってるんだろうけど。俺もあの年齢まで歌い続けたいね。
渋崎:次は『beautifulcountry.jp』。全編に渡ってスライドギターが素晴らしいですね。
ジョウ:おおよ!ヤスタカの見せ所だからね。ライヴの時はもっと張り切ってるよ。
渋崎:貴様もweekend〜とは全然違う歌い方で、歌詞もかなりメッセージ色が強い内容じゃない?
ジョウ:そうだね、もともとタイトルも『beautiful city』ってタイトルでライヴもやってたんだけど、どっかの国の総理大臣が言ってた「美しい国、日本」ってフレーズから拝借して、タイトルを変えたんだよ。
渋崎:総理大臣からパクったわけだね。どうやって出来たの?
ジョウ:以前にやってたバンドDUSKで、BASEMENT MELODYって曲があるんだけど、ロイヤルが『あれ、やろうよ』って言ってきたんだ。でも俺はDUSKの曲はやる気はないから、じゃあ、同じようなコード進行で同じような歌い方で新しいのを作りゃいいじゃないかって作った曲。リズムだけ変えてね。
渋崎:歌詞の内容は?
ジョウ:そうだな、民主主義や立憲主義の崩壊とか格差社会について。なのに、そんな状況に気づかない呑気な人々。そんなとこかな。歌い方はさらに極端な歌い方をしてみたよ。この歌い方、キライな人も沢山いると思うけどね。もう、やりたいようにやらせてもらうよ(笑)ライヴの時はアウトロで、T-REXの『Metal Guru』の一節を歌うことにしてるんだ。
渋崎:かなりライヴ映えしそうな曲だね。
ジョウ:そうだね、もう何回もプレイしてるよ。ヤスタカがボトルネックを忘れなかったらね(笑)
■だれもこういう事歌わないね。海外だとこれは普通なんだけどね。ちょっと寂しいし残念。
渋崎:さて、次は『nanana』。これは問題作なんじゃない?特に歌詞は相当強烈な政治批判と言うか政府批判というか。アルバム全体的にも今まで以上にメッセージ色が強くなってない?
ジョウ:常に日常を歌う。これはずっと変わってないよ。つまり日常がそれだけヤバい状況だと思うんだよね。でも、この曲も作ってから3年くらい経ってるからね。3年の間にさらにこの国の状況が悪くなってるから今回また歌詞も少し変えたりしてね。しかし、俺の周り、というか日本のミュージシャンはだーれもこういう事歌わないねー。海外だとこれは普通なんだけどね。ちょっと寂しいし、残念だね。
渋崎:でも、アルバムタイトルにもなってる『KEEP YOUR DREAMS』って言葉はポジティヴに響いてない?
ジョウ:そうだね、この曲の中で唯一のポジティヴなフレーズになってる。希望は捨てちゃいけないからね。
渋崎:サウンド的にはマンチェスター的なグルーヴなんじゃない?
ジョウ:そうだね。この曲はブラックグレープあたりを意識したかな。bpmは遅くても横に揺れて踊れるようにね。
渋崎:あと、この曲にはアルバム通しての唯一のゲストが参加してて、元ズボンズのピロがパーカッションで参加してるね?
ジョウ:そうそう。ピロさんとはいつ知り合ったんだっけな。。。潤くん(ex-WINOの吉村潤)のバックで叩いてた時かな。もう10年以上前だね。初対面の時から元ズボンズとは思えないくらい優しい人でね(笑)。その頃から「ジョウくんも何かあったら一緒にやろうね」って言ってくれててね。で、2年くらい前の近藤さん(GHEEE / ex-PEALOUTの近藤智洋)のバンドのワンマンを下北沢QUEに観に行った時にあまりにも素晴らしくて「絶対に次のアルバムで参加して貰う!」って決めたんだよ。ピロさんはいくつもでっかいコンガのセットを持ってるんだけど、レコーディングの時はその中でも抜群なのをスタジオに持ち込んで叩いてくれたんだよ、最高!コーラスまでやってくれたんだぜ!
渋崎:貴様、意外に交友関係がありますね。
ジョウ:意外とか失礼だな!失礼だな!
渋崎:先に進みます。次は『baby, this is your melody』。ここまでの3曲でかなり攻撃的だったところに、グッと優しい曲がくるね。
ジョウ:アルバムの構成として、アタマの3〜4曲はかなり重要だよね。試聴する時はアタマから聴くわけだし。3曲のあとに、この4曲目のヤスタカのギターのイントロ聴いて「このアルバムいいかも」って思えるんじゃないかな。
渋崎:ちょっと商業的な発言じゃない?
ジョウ:やりたくないことはやらないけど、やれる範囲でやれることやって売れたら一番いいじゃないか。
渋崎:ここまでの4曲で、目立って同期モノがないけど、そこは意識してる?
ジョウ:うーん、特に意識はないかな。ただ、ロイヤルが入ってから、多少は同期モノは減ってるかもね。少しバンドサウンド寄りになってる。
渋崎:なんか、やっとホッとする曲がここで鳴るって印象だけど?歌詞もラヴソングでしょ?
ジョウ:全曲ラヴソングだぞ。アルバム通して希望と愛を歌ってるつもりなんだけどね。
■「反町フレーズ」って言うらしいよ(笑)
渋崎:次は『veronica』。そしてここにきてやっとガッツリと同期が入ります(笑)。
ジョウ:そうだね。ブリテン先生が活躍しております(笑)
渋崎:今回もアルバム全部でブリテン君が同期を作ってるの?
ジョウ:そうだよ。そこは任せちゃってる。ブリちゃんも多分作るの好きなんだと思う。たまに作らなくていい曲でも作ってくるし(笑)。
渋崎:貴様からは何もリクエストはないの?「こういう感じの作って欲しい」とか。
ジョウ:さっきから貴様って言ってないか?
渋崎:まさか!言ってないですよ?
ジョウ:絶対に言ってる気がするんだが。。。
渋崎:リクエストは?
ジョウ:うーん、まぁ、多少はあるかな。ループっぽいのにしてとか、音色とか。でも、本当に何も言わないでも一発で最高なのを作ってくる事が多いよ。どれもキャッチーだから凄く気に入ってるよ。veronicaもいいループだよね。
渋崎:ヤスタカくんも、個性豊かなフレーズを弾いてるよね。
ジョウ:なんでも「反町フレーズ」って言うらしいよ(笑)。ちょっと俺にはよくわからないんだけど。ちょっと和風というか、アジアっぽいフレーズをリクエストしたらああなったんだ。
渋崎:この曲もかなり前からあった曲?
ジョウ:いや、これは比較的最近。というか、11曲の中で一番新しいかな。ライヴでは確か1回しかやってないはず。どうも俺の歌も歌詞もイマイチだったから、1回寝かせておいたんだ。で、レコーディング前に歌詞を全部書き直した。
渋崎:それで出来上がったのがあんなエロい歌詞になったんだ?
ジョウ:愛だよ、愛。
渋崎:『dynamite lips』。これは随分とソウルフルな曲だね。アルバムの中ではちょっと異色なイメージだけど。
ジョウ:正直言って最後までこの曲をこのアルバムに入れるかどうか迷ってたんだ。これも3年近く前に出来た曲でね。ライヴではかなりやってきてたけど、やっぱり他の曲とのバランスがちょっと合わせにくいというか。他にも何曲も入れる曲の候補があったから相当迷ったよ。ただ、これは楽曲の完成度はかなり高いし、かなり苦労して作った曲でもあるから結局入れることにしたんだよ。
渋崎:豪華な雰囲気のストリングスが入ってるね。
ジョウ:そう!「ストリングスで」って言っただけで、完全にイメージ通りなのをブリちゃんが作ってくれたよ。楽曲的にも今のメンバーだからこそできる曲だね。
渋崎:途中でスクラッチも聴こえてくる。
ジョウ:ロイヤルが自宅録音で作ってきた。あれは簡単に言うとハンソンの『キラメキmmmBOP』からのアイデア。古い(笑)。どっかの音源ネタから引っ張ってきても良かったんだけど、飽くまでも自分たちの音でやろうってことで、ロイヤルが擦ってきたのさ。編集は大変だったけどね。
渋崎:なんか、やけにメジャー感のある曲だよね?
ジョウ:誰かCMにでも使ってくれねーかな(笑)
渋崎:次は『c’mon』。これもシンセベースが入ってるし、一番同期が目立つ曲じゃない?
ジョウ:そうだね。もともと同期なしのつもりでスタジオに持って行ったんだよ。で、なかなか上手くいかなかった。で、この曲の時も俺がヤスタカに『アジアっぽい、インドっぽいフレーズをサビで弾いて』ってリクエストしたんだ。そしたら凄い良いのを弾き始めて、それを録音しといたんだ。で、次のスタジオの日に、理由はなんだか忘れたけど、ヤスタカがスタジオに来れなかったの。インフルエンザだったかな。で、他の3人で作業してる時に「あっ!」て思いついたんだよ。「こないだのヤスタカのフレーズをそのままサビでピアノの音色で鳴らしちまおう!」ってね。その場ですぐにブリちゃんが作ってね。ヤスタカの許可なしに勝手にやっちまったのさ。だから、次のスタジオでヤスタカはまた違うギターのフレーズを考えなきゃいけなかったんだよ(笑)。
渋崎:ヤスタカくんは納得してたの?
ジョウ:特に不満そうな顔はしてなかったけど(笑)。元々サビの歌がメロディアスというわけではないから、ああいうピアノは欲しかったしね。
渋崎:曲調はわりとクールな感じじゃない?
ジョウ:そうだね。最初のイメージではプライマルスクリームみたいなロックの予定だったんだけれど、同期がたくさん入って、ちょっとニューオーダーにU2のギターが入ったみたいなサウンドになったね。
渋崎:歌詞は随分とシンプル。
ジョウ:うん、これはもう、同じ歌詞をリピートするってアレンジ時点で決まってたかな。
渋崎:相変わらず、曲、アレンジ、歌詞の順で作ってるんだ?
ジョウ:そうだね。これはこれからもずっとそうだと思うよ。歌詞は相変わらず時間がかかるけどね。
渋崎:メロディや歌詞を書くときのポイントってあるの?
ジョウ:最初に浮かんだメロディをいかしつつもスキマに字余りをちょっと入れたり、あと裏ノリのメロディを入れて、歌にもグルーヴを付けることだね。ベッタリしたメロディは絶対に×。
■この手の曲はいつでも作れると言うか。俺にとっては王道の曲調なんだよ
渋崎:次は『rainbow』。妖しい雰囲気の曲だよね。
ジョウ:コード進行がそう思わせてるのかもね。これも今のメンバーになって何曲目かのはじめの頃の曲。テーマはサイケデリックだったかな。みんな思い切ったプレイをしてるね。ある意味では昔のwilberryのオリジナルメンバーで作っててもおかしくない曲だね。
渋崎:どういう意味?
ジョウ:なんというか、この手の曲はいつでも作れると言うか。俺にとっては王道の曲調なんだよ。
渋崎:生意気な発言は置いておいて、この曲も同期は薄っすらだよね?
ジョウ:クソ。。。。。うん、オルガンの音色でちょっと壁を作ってるだけだね。でも、オルガンひとつとっても音色は色々あるから選ぶのは大変なんだぜ?
渋崎:ここで『utopia』という曲がきます。収録されてる曲の中で唯一、ヘンタイというか少しわかりづらい曲のような気もするけど?
ジョウ:うーん、ちょっと変拍子というか、歌に合わせて曲のサイズを決めたから、少し不思議な曲になってるね。でも、俺はわかりづらい曲とか覚えにくい曲が大っ嫌いだから、そこはヤスタカにナイスなリフを考えて貰って、なんとかギリギリキャッチーになってると思うよ。
渋崎:リフもリクエストするの?
ジョウ:することはするけど、あまりその通りにはならない(笑)。でも、気に入っちゃったら全然オッケーって感じだね。
渋崎:相変わらず今回もラップをしてるね?
ジョウ:おおよ。普段からこれでもヒップホップも聴くからね。ザ・ルーツとかア・トライブ・コールド・クエストとか、ホントに大好きだぜ。
渋崎:ただ、こういう曲は以前だったら確実に同期を入れてたと思うんだけど、これは入ってないね?
ジョウ:そお!そこが生音で勝負できる今のメンバーのいいところなのさ。ふっ。
渋崎:何言ってるのかよくわかんないけど。
ジョウ:おい!
■アルバムの中で唯一個人的な内容の歌だね
渋崎:10曲目は『swallowtail butterfly』。これはほぼアコースティックだね?
ジョウ:今回は絶対にリズムなしのギター1本の曲を入れるって最初から決めてたんだ。問題はどの曲にするかってことだったんだけど。俺がたまにやる弾き語りライヴでやってる曲でもいいし、配信のみでリリースしたことがある『lake』でもよかったんだけど、結局、わりと最近バンドでも2回くらいライヴでやってるこの曲にしたんだ。
渋崎:あ、これバンドでやった事あるんだ?
ジョウ:うん、ちゃんとリズムも入れて何度かやったよ。でも、今回はギターとフルートとストリングスだけにした。ブリちゃんが作ってきたよ。フルートがいいよね!
渋崎:10曲目でグッと落ち着いてひと休みって感じだね。
ジョウ:そう、そういうことを今までやってことがないからね。俺が普段好きなアルバムって、やっぱり抜くところがあるんだよね。だからやりたかったのさ。
渋崎:でも、歌詞はちょっとヘヴィーじゃない?
ジョウ:俺の父は5年前に死んだんだけれど、アルツハイマー病で20年近く闘病したんだ。それで、死んだ後に、母が父の事を謳った詩集を自主製作で出したんだよ。それを読んだんだけれど、その内容が感動的であり、ショックでもあったんだよ。泣いてしまった。こんな風に父の事を考えていたのか!!!ってね。あまりにも衝撃的で「この内容を歌にしたい!」って強く思ったんだ。それでやってみたんだ。歌詞は殆ど母の言葉だ。だから、歌詞のクレジットも〜johmichio and his mother〜にしてある。このアルバムの中で唯一、個人的な内容の歌だね。楽しい歌ではないけれど、大事にしたい歌だね。
渋崎:そういうちょっといい話もたまには出来るんだね。
ジョウ:。。。。。
渋崎:さあ、最後は『noisy days』。あんまり褒めたくないけど、最後に相応しい名曲じゃない?
ジョウ:だろ?ブリちゃんにリズムはスネアのフェイクを多めで、跳ねるリズムってのをリクエストして、弾き語りでメンバーの前で歌ったよ。これも2年以上前だね。殆ど俺の中で完成形は浮かんでいてその通りに出来たんだけど、何か少し物足りなさがあって、そこでブリちゃんが、間奏後のコードGからの進行を考えたんだよ。最初はその部分に歌はなかったんだけれど、付けたくなって付けちまった。でも、それで正解だったね。なんだか、初期のレディオヘッドみたいな感じになったね。
渋崎:歌詞は?
ジョウ:さっぱり売れてないしょうもないバンドマンに付いてきてくれる女のコに向けたメッセージなのさ。
渋崎:自分のことを歌ってる?
ジョウ:俺はこのバンドに誇りを持ってやってるから、必ずしもこの歌詞の通りというわけではないけれど、たまに落ち込んだりガッカリすることがあると、こんな気持ちになるね。
渋崎:さてと、ザックリと聞いたけど、どうなの?手応えは。
ジョウ:そりゃ最高だぜ!本当に満足してるんだ。もう、これ以上のアルバムは出来ないかもしれない。ちょっと不安になるくらいだよ。ま、もちろん、これからも凄いのを作りたいけどな。